先週書いた還元強化期待銘柄の中で気になっている3355クリヤマホールディングスの事業を少し深堀りしてみたのでまとめておく。
3355クリヤマホールディングス
株価指標
PER |
PBR |
利回り |
信用倍率 |
5.6倍 |
0.46倍 |
3.17% |
-倍 |
時価総額 |
211億円 |
事業内容
ゴム、合成樹脂製品が主力。産業用や建設用中心。尿素SCRセンサー事業も。
セグメント別売上利益構成(2022年12月期)
北米事業の売上高が49.8%と約半分を占める。一方で利益はアジア(産業資材)事業の比率が49.2%と約半分を占めている。ということで売上高比率の高い北米事業と利益比率の高いアジア(産業資材)事業にフォーカスしたい。
北米事業
ホームページによると北米事業の製品ラインナップは 熱可塑性樹脂ホース 、産業用樹脂ホース、飲料用ホース、高圧樹脂ホース、メタルホース、産業用ゴムホースと多岐に渡る。プロダクト毎の売上利益比率の開示はないが主に産業用として使用されていると解釈。
https://www.kuriyama-holdings.com/business/north-central-america/
四半期毎の売上推移をみるとここ2~3年は北米事業の売り上げが急速に伸びている。本来的な産業の成長に加えインフレ、円安の影響が大きい?直近の決算短信によるとどのプロダクトも足元の販売は概ね好調に推移との事。
また、最新の決算説明資料によると2024年初旬に北米本社物流拠点の移転、拡張が発表されているのでこれから利益率の改善などに繋がるのか注目。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/3355/ir_material_for_fiscal_ym/141621/00.pdf
アジア(産業資材)事業
ホームページによると産業資材事業の製品ラインナップは尿素SCRシステム、成形ホース・モジュール製品、各種ゴム・樹脂製品、NORMA製品。北米事業同様こちらもプロダクト毎の売上利益比率の開示はなし。
https://www.kuriyama-holdings.com/business/industrial/
ディーゼルエンジンの浄化システムである尿素SCRシステムが気になったのでIRにメールで問い合わせしてみた。以下に回答をまとめる。
・
尿素SCRシステム関連事業のシェアは
日系の建機・農機業界では、約8割程度のシェア。
・子会社サンエーが手掛ける熱伝導方式による尿素水識別センサーは、独自の技術であり、その製造技術は国内外で特許権を保有。
・
尿素SCRシステム関連の売上比率は年度により多少変動するが、
産業資材セグメント全体の3~4割程度。利益率は取引先との
守秘義務等にも影響しかねない為非開示。
・
尿素SCRシステム関連の利益率は、
尿素水識別センサーに加え、SCRシステムとして必要な部材を複合的に組み合わせた状態で供給する場合が多いことから、
単品製品を供給する事と比べて付加価値が高くなる傾向にある。
・産業資材事業における売上比率は、建機・農機向けが約65%、船舶プラント向けが約10%、乗用車向けが約5%、トラック向けが約5%、その他量産機械向けが約15%(2022年度実績)。
・
尿素SCRシステムで最も伸びている分野は、建機・農機向けだが
直近ではトラック向けも増加傾向にある。
日系の建機、農機業界でシェア約8割というのは割と衝撃的だった。
尿素SCR関連の売上比率は産業資材セグメント全体の3~4割という事は2022年12月期の推測は売上高約190億のうち約55億から77億くらいか?利益比率は非開示だが少なくとも売上比率よりは高そう?となると
尿素SRCシステム関連の利益が会社全体における占める割合も大きそうである。
建機、農機の出荷推移
産業資材事業における売上は建機・農機向けが約65%という事で建機、農機業界の出荷推移が気になった。建設機械出荷・生産実績統計というものを見つけたので年度別の出荷推移をまとめると全体の出荷台数の推移は以下のようになった。
2021年以降若干増えているが大体横ばい傾向?全体推移だが安定性はありそう。
建設機械のEV化について
2年前の記事だが建機業界においては
電動化市場は現時点では世界のどこにもないとコマツの社長が言及している。
建機におけるカーボンニュートラルに向けてはバイオ燃料を活用する動きが広まっている。
建設機械各社で、建機燃料に再生油や
バイオ燃料の活用を試す動きが広がっている。
CO2削減の本命は電動ショベルや水素エンジンショベルだが、価格が一般機の3―4倍か、それ以上と高く、燃料補給インフラの課題もある。
バイオ燃料は軽油よりは価格が高いものの、ディーゼルエンジンをそのまま利用できるため車体改造など追加投資が要らない利点がある。
農機(ト
ラクター)においては電動化の動きは出てきたものの技術的、コスト面での課題も多そう。
まとめ
独自技術を持つ
尿素SCRシステムは今後も需要の先細りはなさそう。成長性があるとは断言できないが日系メーカーへのシェアが高く安定性はありそう。北米事業はプロダクトも多岐に渡り分析が難しいが物流拠点の移転、拡大についても言及しており明確な悪材料も特になさそう。
四季報は足元ネガティブ予想だがとりあえず2月の決算に注目したい。
現在の評価損益状況
楽天証券
来週から決算シーズンが本格化。前回のような無理なギャンブルはしない。基本は決算通過後に拾うスタンスで臨みたい。