今年の振り返りというよりトランプショックの振り返りである。悲惨なオチを期待されるかも知れないので先に書いておくと内容は爆損エピソードだけど奇跡的に今年中に取り戻せた。が、今年どんな結果で終えても多分同じような事を書いたと思う。年後半あたりから思いつくままに全てを書き貯めていたらつぎはぎで長くなってしまったが今の自分を晒け出せたつもりである。
トランプショックでの爆損に至るまで
銘柄ピックに関して私ができる事は全て井村さんの質の低いイナゴであり物真似ある。3月の井村さんの2回の講演で銀行の話(念の為書くが個別株への言及や推奨は一切していない)を聴いたのをきっかけに改めて自分で地銀を洗い直し8550栃木銀行を選んでフルゼンツした。
あくまで3月当時の状況である前提で栃木銀行を選んだ理由は①貸出金の変動金利比率が他地銀との比較で割と高く固定金利比率が低い水準②預貸率は低めだがネットで見た現金預け金−借用金等(≒日銀当座預金)が時価総額対比で突出して映ったので金利上昇の恩恵を受けやすい③2月末の説明資料で来期26-3期の大幅増配を間接的に示唆していた。(2月末に開示した資料で来期の業績見通しと還元性向を既に明記しておりその見通し通りなら大幅増配となる公算)④これから地銀再編の思惑に絡んでもおかしくない立ち位置⑤有価証券の大量損切りにより25-3期が赤字に下方修正のネガティブイメージもあり当時のPBRは0.2倍台前半で地銀株73行中下から6番目くらいという評価⑥債券の大幅損切りにより預証率(預金に対しての投資有価証券の割合)低下で有価証券運用における金利上昇デメリット(=債券価格下落)が他行比較で低い。また当面は年限を抑えたローリスク運用にシフト。その割に同じ低PBR水準の他行と比較して自己資本比率は高く財務状況は良好に映る。要するに市場にはネガティブと受け取られた債券の大幅損切りによる赤字決算が実は今後の金利上昇デメリット側面が軽減される好材料でこれは井村さんの言う「見切り品の納豆銘柄」ではないかと。割安な物が更に割引されていてしかもより発酵されていておいしいみたいな?マイナスと見なされている材料が実はプラスなのかも的な?
リスク要因としては貸出金の質の問題、不良債権保全率の相対的な低さ、これまでの有価証券運用の下手さ、債券リパへの懸念などもあったがそれらを含めてIRとも対話を重ね他行と比較して何度検証しても今の評価は低いとしか思えなかった。勿論私が見落としたり軽視していたリスクも当然沢山あると思う。
雑にまとめ直すと①大幅増配が既定路線②足元は赤字により株価低迷③債券の大幅損切りで預証率が下がり金利上昇(債券下落)デメリットが他行比較で低い④その一方で日銀当座預金は豊富かつ変動金利比率も比較的に高いので金利上昇メリットは他行比較で大きい。その他年内利上げ1回は確実視され既定路線という当時の外部環境込みで自分の中でここまで条件が揃うのはかつてないようなチャンスだと思い込んで高配当株を担保に栃木銀行だけで信用取引で最大約20万株約6000万円分(資産に対してレバ約2倍)までポジションを膨らます。少なくとも直近の赤字でそもそもの評価が低いのでダウンサイドは限られていて下値は固いはず!3月末の時点では資産は年初来プラス10%弱と割と順調だった。
・・・そこにきてトランプショック。
それまでは日銀の年内利上げ1回が既定路線でほぼ確実視され年内2回目の利上げが焦点となり盛り上がっていた最中でまさかの年内利上げゼロの方向に一瞬で逆回転。景気敏感株でもある銀行株は株価的に最もダメージを受ける展開に。
振り返るとほとんどの相場強者は4月2日の解放の日の時点で信用ポジションはほぼ手仕舞っていたのではないかと思う。愚かにも私は手仕舞うどころか4月4日は絶好の拾い場だと判断し他の銘柄を切って買い増しさえしていた。今回はいわば人災でありコロナショックとは比べるに値しないだろうとどこか楽観視していた。が、当初はTACOといった概念など当然なく先の展開の不確実性は徐々に受け止められていく。それにつれてじわじわと不安な気持ちが押し寄せる。もしかしてアメリカと中国のガチ戦争まで一気に発展するの?いつかは市場も冷静さを取り戻すだろうけどこの先市場がどれほどのリアクションをするのか?底を突き抜けたら日経平均2万割れ?売りが売りを呼ぶフィードバックが瞬間的にいつどこまで続くかなどわかりようがない。万が一、万が一自分の想定外の想定外が起きてストップ安が続いて売るに売れなくなって一気に借金を抱える事態に陥るのでは・・・?ひとたび「まさか?」の思考に陥ったら最終的には全て投げるしかないと気づいた時には手遅れだった。金曜夜になると「なんとしても耐え抜く!」という楽観から一刻も早く全てを手放したい衝動への強烈な急直下が始まる。つい先週までそこそこ上手くいってたのに今は借金を抱える恐怖に震えている。これは本当に現実なのか?素人がわかった気になって株なんかに手を出すんじゃなかった・・・。現実は甘くなかった。株なんかに夢を見たのは間違いだった。最悪親に泣きついて何とか資金を工面してもらうしかない。こんな歳にもなって情けない、惨めだ。生まれてきて申し訳ないという気持ちで涙が出た。頼むから借金生活に陥る前に全部売らせてくれ。縋るような気持ちで一杯だった。
もし月曜日の場中に一度寄った後でストップ安張り付きになって売れるチャンスを逃したら目も当てられない。やはり寄付きで一気に売ってしまうのが一番後悔しないか・・・いやでも本当にそれで良いのか?・・・と決意しては考え直す永遠にも感じる地獄のラリー。金曜から月曜まで食事もまともに喉を通らず一睡もできず人生で一番長く感じる地獄の週末を過ごす。
そのまま朝を迎え結局4月7日月曜日の寄り付きで信用ポジションは全て投げ売る。そして終わってみれば当然のようにそれが底で売らされた結果となった。また、取引のミスにより信用取引の担保にしていた別の銘柄である虎の子だった高配当株も想定よりも大量に売ってしまった。市場が開く前に何をどれくらい切るか悩み注文しては取消の動作を繰り返していた中で取り消したと思っていた注文が取り消されていなかったという凡ミス。結果的に月曜朝の底で想定より更に投げ売りした形になってしまった。自覚はなかったが金曜から月曜朝まで覚醒状態で一睡もできず疲労が蓄積されていたのかもしれない。いずれにしろ身の程をわきまえずにハイレバに手を染めた時点でダメだった。それでも終わってみれば爆損によるショックよりも売ることができたという安堵で一杯だった。
4月7日の寄付きで投げ売りした信用買いポジション
計198,900株
合計確定損失-16,368,222円

結局信用維持率もまだ追証レベルには届いていなかったしまんまとビビり散らかし大底でぶん投げた私が超下手クソだっただけの話かもしれない。実際そうなんだけど自分に失うものはないと心を強く持てば投機に身を委ねられると本気で思い込んでいた。が、投機家を眺めて想像するのと実際に投機家になってみるのとではまるで世界が違った。いざとなれば自分も爆損芸人になれると思い込んでいたけど決してそんなことはなかった。「自分が取りたいリスク」と「自分が取れるリスク」は全く違った。暴落の最中で楽観から悲観に転換した際にかかる精神的負荷は想像を絶するものだった。自分には投機家の素質があると勘違いしていたがそれは全然違った。私はこれまで積み上げた資産を大きく失ってもまたトレードで取り戻すとか仕事でもっと稼げるようになって取り返すとかは決して思えず能力もない。何の取り柄もない人間なので今まで積んできた資産そのものに心が大きく依存していたという事なのかも知れない。自分の全てが現実によって全て否定されていく衝撃は耐え難いものであった。
もう少し自己分析を続けると昨年の植田ショックのときもここはさすがに割れないと思っていたラインをいとも簡単に突き破るのを見て恐怖したが今回のように手を引こうとは思わなかった。結局あれはチャンスでしかなかったのでは?と。が、その後ブノワ・マンデルブロの禁断の市場を読んだりして暴落局面での市場のラフネスは何が起きてもおかしくないと中途半端に理解し意識するようになった。そして実際に暴落局面に陥ってその意識が強く反応した。もし植田ショックと同じ態度でいられていたらあの局面で全てを切る選択はせずに今でもレバレッジを掛け続けていたのかもしれない。結果だけで見ればそうあり続ける方が今のところ正解。もはや株式市場で暴落など起きないのかもしれない。「どんな暴落も結局一年足らずで戻すでしょ?」リーマンショック以降の暴落局面はそんな雰囲気を感じる。リーマンショック経験組と未経験組で暴落の捉え方は私が生きている間一生埋まる事はないのかも。
多分凄腕投資家達は人間性能に加え自分の器や能力を十分把握理解した上で手詰まりに陥る状況を常に最優先で回避している。私にそういった能力はなかったし私にとってはもう鍛えたり上達できるものではないと思う。資産を爆速で増やすにはレバレッジが必須でSNSには当然のようにレバレッジを大いに活用した爆益プレイヤーが溢れているけど自分にもできるとは決して勘違いしてはいけないのだと身をもって思い知った。漫画アカギの「死ねば助かるのに」というセリフを思い出す。漫画なら簡単に死ねるけど現実で本当に死ねる人間はごく僅か。相場に対して中途半端な謙虚さを見せるくらいならいっその事振り切れた方が良い。私も重々承知のつもりで相場を張っていたが、現実で実行できる器ではなかった。私よりももっと悲惨な状況を体験を耐え抜いた人や本当の破産に至るまで立ち向かえる人もいると思うけど私はこの程度でKOされ一瞬で駆逐されるゴミコッパだったのである。この日をきっかけに地元の田舎に戻り慎ましく暮らしていく決断をした。
2025年の総資産推移グラフ

総資産
12月30日 80,681,961円(年初来+29.58%)(前週比+1.15%)
YH 12月15日 80,708,102円(年初来+29.61%)
YL 4月7日 32,892,603円(年初来-47.17%)
生涯年間記録(税引後確定ベース、NISA口座含む)

4月7日に信用ポジションを底で損切りして以降はレバレッジなし。あれだけの失態を犯しておきながらまさか年初来プラ転、更にはYHタッチまでできるとは思っても見なかった。4月7日の時点ではこれからレバレッジは使えないので資産を取り戻すのに上手くいっても2年はかかると覚悟したが、まさに今年は奇跡の相場である。
もし可能なら以前のようにレバレッジを駆使したいけど私はもう立ち向かえない。今はたとえ僅かでも信用ポジションを抱えるとそわそわして常に不安になると確信できる。信用ポジションを抱える事自体がストレスになる体質になってしまった。完全にレバレッジ恐怖症である。当然ながら極僅かでも信用ポジションを抱えた時点で破産リスクは現物取引の比ではなくなる。あんな地獄の週末は是が非でももう一生体験したくないという気持ちを何よりも最優先する体になってしまった。「もし土日に相場が急変する何かが起きて信用ポジションを解消できなかったら?今の相場の織り込み速度は超急激だからもしかしたらストップ安連発で信用維持率を下回っても全く売ることが出来なくなるかも知れない。そうなれば一気に借金生活だ。」このような極端な不安が常に頭にある状態で僅かでもレバレッジを掛ければちょっとした下落調整局面であってもすぐに投げるようになると思う。ちょっとした局面を判断する技術など当然持ち合わせてないのでつまりそれなら最初から手を出さない方がマシと思う。引退後の清原達郎さんの記事を見てると素人にとって本当の株の買い時なんてものは年一回あるかないかだと思う。素人はひたすら時間を味方につけるしかないといい加減学びたい。退場しない事を何よりも最優先したい一方で株を始めたときからの憧れである集中投資で爆益達成スタイルはこの期に及んでもまだ貫きたい気持ちがある。物事を0か100かでしか判断できない単純バカなのでポートフォリオにグラデーションを持たせてその都度判断みたいな運用はできない。どこまでが集中でどこからが分散かという議論は置いといて私の場合はもし分散スタイルに切り替えるなら個別株は完全にやめてインデックス投資に一本化するつもりである。という訳で個別株を続ける限り今後もブログは継続していきたい。
とはいえ個別株の成績はどこまでいっても安定しない。今だに私はハリボテで一瞬で崩壊するかもしれないと思っている。それでも個別株を続けたいのは私の場合は完全に趣味で、安定した資産形成だけを考えるならインデックス積立投資が圧倒的な最適解である。と、橘玲さんの「新臆病者の為の株入門」という本を最近読んで特に痛感するようになった。理論に裏付けされたインデックス積立投資が常識となった一方で私のように個別株に夢を見る人も増え続けると思う。私に何かしらの優位性があったとしたら井村信者になれた事。本来の私は相場で勝てる側の人間ではなく、今の所プラスでいられているのはここ数年間の相場が異常に良いのとたまたま絶好のタイミングで井村さんが現れてくれた時代のおかげである。そしてこれからは私のようなニセモノではなく真の井村チルドレンが続々と頭角を現してくるだろう。今後の自信はあまりないがかといって個別株をやめるイメージも今のところ沸かない。私の祖父は生前二人とも株に手を出してどちらもトータルちょい負け?で死んでいったのでもし少し前の時代に生きていたら私もその程度だと思う。或いは今はプラスでも死ぬ間際にはちょい負けになっているのかも知れない。が、少なくとも株好きの隔世遺伝は受け継いでいると信じたい。
・レバレッジは諸刃の剣。レバレッジを活用しつつ「ここを割れたら死ぬ」を常に意識した手法などあまりにも無謀だった。信用二階建てバイアンドホールド戦略などは特に無謀でいずれ破綻する。「万が一もしかしたら?」という思考に囚われたら最終的には売る以外の選択肢はなくなる。
・コントロールを失い判断を誤れば一瞬で壊滅的なダメージを受ける事態に陥る。日々の市場動向を意識した的確なリスク管理、ポジション調整を兼業の素人が常に高い精度でこなし続けるのはかなり難易度が高い。レバレッジ活用で資産を増やし続けられる人は上澄み中の上澄み。
・たとえ僅かであってもレバレッジに手を出せば破産リスクは格段に跳ね上がる。 2年前に造船でやらかした時も今回のトランプショックも一時の感情に支配され最終的に最悪なトレードに終わってしまった。破産が現実味を帯びていく恐怖に正常な人間は抗えない。その状況に陥る事態を常に回避できるのは極一部の凄腕のみでほとんどの人にとってレバレッジは特急券などではなくむしろ足枷となる。
・リスクを理解把握しメンタルが耐えられる許容範囲内であればレバレッジに手を出しても問題ないと凄腕は凡人を装い凡人達にささやく。だがその悪魔のささやきに騙されてはいけない!彼らは能力ある成功者だからさらっと簡単に言えるだけで凡人はそもそも「自分の許容範囲」なるものを把握すること自体が困難。「あなたはあなたの許容範囲を保っている」などとは誰も判断してくれない。私の場合は全く自覚できなかった。暴落が起きても耐え抜く覚悟を決めたと思い込んでいた。いざという事態に陥るまで自分の愚かさには決して気づけない。
・本当の暴落相場がきたら凄腕でも退場者続出。今の時代に生まれていたら大富豪になっていたであろう過去の傑物は沢山いたはず。本当の暴落相場でどれほどの数の名もなき傑物が散っていったのだろうか。卓越した能力を持っていたとしても生まれたタイミング、運が悪ければ隕石が墜落するような不可避の即死もあり得る。もし突如訪れるそのような瞬間にレバレッジをかけていたら死の可能性は跳ね上がる。自分がいかに株式投資をやる上で幸運な時代に生きているかを常に忘れないようにしたい。私が生きているうちに人類の終焉を予期させるような本当の暴落などもう訪れないのかもしれないけど・・・。
以上。さっき去年の振り返りを見返したら植田ショックでの爆損ネタで全く同じような事を書いていて赤面してしまった。全く反省していなかったし成長していないのかもしれないが来年こそは飛躍の年としたい。