エル川の株ブログ 爆益への意志

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日本に造船バブルは再来するのか!?造船業界まとめ(´・ェ・`)

去年頃から造船が話題。年初来から爆上げしている造船銘柄も多い。

私もなんとなくこれからは造船界隈がいいんじゃないか的な雰囲気は感じていたがちゃんと調べはせず。そんな中で今週7018内海造船と6016ジャパンエンジンが超絶決算を出してきた。船舶用塗料の4617中国塗料も好業績を維持して今期上方修正を出している。これは造船業界をきちんと見なければと思い今の状況や今後の展望についてのブログなどを調べてみるが素人目線で詳しく解説しているような記事はあまり見つけられなかった。ならば自分でまとめてみようと思った次第である。あくまで素人目線なので間違った見方をしている部分も多くあると思う。参考資料は最後に記している。

 

世界全体における造船業界の状況

2018年、IMO(国際海事機関)が2050年までに温室効果ガス排出量を2008年比で50%以上削減し、今世紀中のなるべく早い時期にゼロエミッションを達成することを目標とした。それに伴い各船社は目標達成のため既存のディーゼル船を置き換える方向に向かっているとのこと。
 
大手船社が揃って2050年までのネットゼロ・エミッション化を目標として打ち出し、新燃料船の開発を積極的に行っています。

 

既存のディーゼル船を置き換え、GHGの排出量を抑えられるLNG液化天然ガス)やLPG(液化石油ガス)、水素、アンモニアメタノールなどを使用する新燃料船へ切り替えるには、2030年以降で年間1億総トンレベルの建造が必要とされています。

 同会の金花芳則会長(川崎重工業会長)は「環境規制により各船社は2050年までに現存船を総取り換えする方向に動いており、新造船の建造量は大幅に増加するものと見ている」と話していました。

 

造船業各社もカーボンニュートラルへの取組を余儀なくされている。

 

各船社は2050年までに現存船を総取り換えする方向に動いているのであれば超長期的に見て造船需要は当然活況になっていくと予測される。

 

 

造船業における日本の立ち位置

では造船業における日本の立ち位置はどうなっているか?造船業においては日本、韓国、中国の3か国が世界の船の約90%を造っていることになり世界の船づくりのリーダーとなっている。その中で過去20年において中国と韓国に押されて日本のシェアは落ちてきているという。

 

 

 

 

日本はこの20年、中国や韓国に建造量で圧倒されてきた。日本の21年の新造船受注量の世界シェアは12%にとどまり、この20年間で30ポイントほど落ちた。首位中国との差はあまりに大きい。

 

 

日本国内における造船状況データ

次に日本国内における造船関連のデータを見ていく。

 

手持ち工事量

 

手持ち工事量(受注残のようなもの)は2020年に底を打った後で回復傾向にある。

 

もっと長期間で見たデータは以下。

 

https://www.jsea.or.jp/results/ より3月年度末ベース(例2002年は2003年3月のデータ)を並べた。2023年は6月現在の数字。日本船舶輸出組合(JSEA)のデータだが全体の受注データとほぼ相関性はあると思う。

 

 

2020年で底打ちしているとはいえ過去最大級だった2006~2010年頃と比べると手持ち工事量はまだまだ半分以下の水準である。

 

更に直近2022年4月以降の受注状況を月ごとに並べたのが以下。

 

手持ち工事量は増えてきているとはいえ受注量は2022年の下半期頃から失速気味である。これは国内造船業の縮小も一因であると思うが直近の鋼材価格の高騰により発注者側と受注者側の交渉が難航しているとの見方もある。

 

 

 

「舶用分野のうち商船向け市場では、鋼材価格の高騰を受けた船価の上昇等により新造船の受注環境は軟調ながらも、手持ち工事量は高い水準を維持しました。」
 
 

船価と鋼材価格の推移

では次に船の価格と原料価格の大半を占める鋼材価格はどのように推移しているのか?

船価の推移

全体的に船価はここ2年ほどで上昇傾向にある。しかしそれでも造船バブル期の2006~2010年頃と比べると安い。ただしこれらのグラフはドルベースの金額であることに注意。造船バブルが来ていた当時のドル円レートは100円以下の水準。今の為替環境で日本の造船業者は当時と比較して大きく円安恩恵を受けていると考えられる。
 

鋼材価格の推移

鋼材価格も2021年半ばから特に上昇傾向にある。更に長期のグラフが以下(日本のみ)

造船に使われる厚板の相場価格は直近の造船バブル期を超える水準となっている。これが現在の受注が軟調になっている要因の一つとされる。ただしこれは先ほどの船価と違って円での金額なので造船業者にとっては船価の円安恩恵の方が大きいか?
その他電気料金や現在の生産効率、人手不足の影響も検証する必要はあると思うが省略する。
 

その他、現在の造船市況ニュース記事などで気になった文言まとめ

欧州連合EU)加盟国に寄港する大型船には燃費データの提出が義務付けられている。その実績を基に燃費格付けを試算したところ、日本の造船会社が手掛けたものは全船種のうち55%が「高評価」。中国勢の36%、韓国勢の34%に対して大差をつけており、一歩も二歩もリードしている
世界の新造船建造量は11年に過去最高の計約1億総トンを記録し、この年をピークに足元では6割程度にまで減少している。だが、35〜40年にかけて年約1億2000万総トンに増えるという予測が出ており、日本造船工業会は次世代燃料船も活況を呈すると見ている。
 
同会の金花芳則会長(川崎重工業会長)は「環境規制により各船社は2050年までに現存船を総取り換えする方向に動いており、新造船の建造量は大幅に増加するものと見ている」と話していました。
「この需要拡大をうまく捉えることにより、造船・舶用工業ともに安定した経営が可能になる。船舶のゼロエミッション化というゲームチェンジに応えていくために、舶用工業とはエンジンの開発や新燃料に関する規格化、サプライチェーンの準備などの連携強化が必要になってくる」(金花会長)
とはいえ世界的に需要が高まっているLNG船の建造や貨物船とは違う能力が要求される大型客船の建造から日本は事実上撤退しており、それ以外の船種で戦うしかないのが現状です。
 
今治造船愛媛県今治市)の檜垣幸人社長は都内で開いた会見で鋼材などの資機材価格や人件費の上昇を船価に十分反映できておらず一層の値上げが必要との見解を示した。
生産体制については「年間で5%ずつぐらいは上げられるようになりたい」と増産に意欲を示した。2011年に大量建造された船舶が26年以降リプレース期に入ることによる需要拡大を取り込みたい考えだ。 「需要過多で供給が足りない状況はこれからも続く」として、生産体制を長期的な課題と位置付けた。社会全体の人手不足の中で、人員を確保できるかが体制整備のカギになると認識する。
 

 

新造船価は今後大きくは下がらない、との認識が船主に徐々に浸透してきた印象だ。今春ごろから一定の値上げを受け入れる国内船主が増えており、実際に幅広い船主が発注に動いている。 中には、世界的なインフレ傾向と造船所の船台のタイト感から、船価が今後さらに上昇すると判断している船主もいる
 
感想
色んな記事を見て読み取れる雰囲気として直近のデータでは受注量は下降気味だが今後船舶の入れ替え期に入ることによる造船所のタイト感などもあり造船業者にとっては有利な状況であるかも知れない。しかし足元の受注交渉は難航しているようで鋼材高止まり影響などによりしばらく受注が伸びない可能性もある。仮に鋼材価格が下落に転じれば受注が回復して造船業にとってはプラスなのだろうか?去年の後半から下落気味の受注量が今後回復に向かうのか注目したい。
 

まとめ

造船業全体は超長期で見てゼロエミッションに向けて追い風状況。
・差を付けられている中国、韓国に対して日本は技術力を生かして挽回できるか?新型燃料船開発など期待される。
・2006~2010の造船バブル期と比べると現在の国内造船の受注と手持ち工事は半分以下でまだまだ少ない状況。
・2006~2010の造船バブル期と比べても鋼材価格は高くなっているが船価は円安恩恵を大きく受けていそう。
・原材料高、造船所のタイト感を背景に現在の船価はまだ上昇傾向にある模様。
・超長期的(10年以上)には事業環境は良さそうだが短期的(1~3年くらい?)にはこのまま鋼材価格高止まり、キャパシティー不足などによる受注低迷継続もあり得る。 
・世界的にはいずれバブル再来はありそうだが日本にまた造船バブルが再来するためには設備投資、競争力強化、人手不足など色々課題がありそう。
 

造船業界の関連株

造船業
7014名村造船
 
・船舶エンジン
6016ジャパンエンジン
6022赤阪鐵工所
 
・その他船舶パーツなど
7003三井E&S
6637寺崎電気産業
7012ニッチツ
6137小池酸素工業
6229オーケーエム
6496中北製作所
 

 

参考資料一覧

国内造船業界の経営動向調査

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/s211201_58.html

 

 

 輸出船契約実績

https://www.jsea.or.jp/results/

 

 

国土交通省

世界の造船市場と我が国造船業の動向(URLなし)

造船業の現状と課題

 

https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001353158.pdf

 国際海運の2050年 カーボンニュートラル達成に向けて

https://www.mlit.go.jp/maritime/content/001484433.pdf

 

 船舶産業を取り巻く現状