年明け一週目は2024年問題が今年のテーマとして特に急速に注目が集まっている印象を受けた。昨年12月の国土交通省の資料が話題になっていたので目を通してみた。
「標準的運賃」 及び「標準運送約款」の見直しについて
超単純にトラック輸送の「運賃上昇」にフォーカスすると
・運賃上昇による負担増=メーカー、卸売り、小売りなどの荷主側
・運賃上昇による恩恵享受=運送会社
大発会(1月4日)に上昇した銘柄一覧(株探より)
「陸運」がテーマ
「3PL」がテーマ
また、会社説明によると主に飲料製品、セメントなどのトラック輸送を行っているとある。先ほどの「標準的運賃」 及び「標準運送約款」の見直し資料に特殊車両割増の事項を追加という項目があり、これにはセメントバルク車が含まれているのでメイン事業面で他の運送会社よりも特に運賃上昇による恩恵がある会社ではないかと考えられているのかもしれない。
これらテーマ性という観点で見れば東部ネットワークがドンピシャで当てはまる感じがあり急上昇したのも納得である。
ただ、IRや還元意識という面で見れば今まであまり株主の方向を向いてきた感じではなさそう。(それが超低PBRの一因?)
今後もこの姿勢に変化が起きなければ失望売りもされるかも知れない。逆にこれからPBR改善策だったり具体的に値上げのニュース等が出てくれば更に上がりそう。値上げの実態(業績影響)がいつ、どれほどになるのかも見ていく必要がある。
という事で「陸運 値上げ」で検索してみたら下記の記事が目に留まった。
ゼロ、2024年1月から運賃を平均20%値上げ 取引先3万社が対象 2024年問題対応で人件費に充当
9028ゼロは主に中古車輸送(輸出する中古車をオークション会場から港近くのヤードに運んだりなど)を手掛ける運送会社。最新の決算説明資料(2023年6月期)によると「車両輸送事業による増益」が大きく全体事業に占める車両輸送事業の利益も大きいので運賃20%の値上げは結構な利益恩恵がありそう。だがこの記事が出た12月4日以降も株価は特に反応していない。
20%値上げは結構なインパクトだと思うがこれは流動性が低い過疎株だから単純に見逃されている?値上げ及び人手不足による輸送量減少、値上げ以上の人件費負担増などが懸念がある?全く別の要因?よくわからないが指標面で特に割高感もないのでこの値上げが今後無事に業績に反映されれば株価は上がりそうなので注目しておきたい。
9028ゼロ決算説明資料(2023年6月期)
また、「荷主側の負担増」という観点では個人的に下記の記事が気になった。
物流のコストアップ/日本製鉄、需要家へ負担要請/〝SC全体での対応〟に主眼/あすの物流支え、守る2024年問題
出だし部分しか見れないが「日本製鉄は、デリバリー能力の維持・向上に必要な物流のコストアップについて、需要家に負担を要請する。国土交通省の標準的な運賃の動向などを踏まえ、品種特性やさらなる自助努力によるコスト改善の効果も勘案。サプライチェーン(供給網、SC)全体での適切な対応に主眼を置いて進めていく。」とある。
「需要家」にはおそらく今のトレンドである造船所も含まれていると解釈。私を含め造船株投資家は国内で現在高止まりしている鋼材価格は近いうちにピークアウトし中国と同様に値下げ方向に転じることを期待していると思うが仮にこの2024年問題を理由に更なる値上げとなれば上場している造船2社にとって結構なマイナスインパクトになるかもしれない。
まとめると
・超単純に運賃上昇という観点で見れば運送業メインの会社が恩恵を受けそう。
・ただしドライバーの人件費上昇という名目であるためどれほど収益改善に影響するかは未知数。逆に人員確保負担増による収益性悪化懸念も。
・需要家含む荷主側の負担増加による収益悪化影響、または各所で更なる価格転嫁がなされて更なるインフレ加速の可能性も。
まだまだ自分の解像度が低すぎてよくわからないというのが正直なところである。時すでに遅しとなるのかも知れないが実際に4月以降はどうなるのだろうか。
現在の評価損益状況
明日は二倍株研究会。今の投資家の雰囲気を感じ何かを得られればと思う。