昨日井村さんが富山第一銀行の大株主一覧に現れたことにより地銀相場の初動が到来しつつある。
そこで今回は少し前に週刊エコノミストで地銀ランキングなるものをやっていたのを思い出し読み返して簡易的な地銀ランキングを作ってみたので銘柄選定の一環としてまとめておく。
この地銀特集は週刊エコノミストの公式サイトに登録すれば3ヶ月無料、掲載時の雑誌はkindleで読めるしkindle unlimitedなら一部ランキングを掲載した雑誌が無料で読めるので地銀株に投資しを検討している人は是非読んでみることをお勧めする。
改めてしっかりと中身を見てみるとこのランキングはとても有益。2021年にも同じような趣旨の企画を行っており2021年の特集時は読者からの要望多数のため週刊エコノミストでは完全なエクセルデータを個別に5万円で販売しているという始末。過去のデータと比較して深堀したい人や銘柄調査する時間がない人にはそれだけの価値になり得るデータだと思う。
比較するランキング指標について
今回は雑誌に掲載されている一部のランキングをまとめて総合的に比較してみた。22年3月期末時点のデータでありあくまで簡易的な指標である。
雑誌には非上場を含めた地銀99行全てを対象にした地銀にとっての各重要指標のトップ25とワースト25のランキングが掲載されている。以下が雑誌に掲載されているランキング指標一覧。
・有価証券評価損益
・経費率(Over Head Ratio)
・ROA
・貸出金増減率
・不良債権比率
・総資産
上記7つのうち総資産は会社の規模感を示す側面が大きい指標と判断しそれを除いた6つの指標でトップ25とワースト25にランクインした数を数えて簡易的に比較してみた。なお有価証券評価損益に関しても会社の規模感にも依るので前年比の増減率で比較した。
トップ4位タイまでのランキング(上位14行)
1位はなんとすべての指標ランキングでトップ25に入った千葉銀行。地銀の中で抜群の安定感があると言える。ただし時価総額7000億というメガ地銀で現時点でのPER10.3倍と地銀の中では既にある程度株価評価されているので上昇余地は少ないのかもしれない。それでも安定感は抜群であるといえるだろう。
そして注目すべきはやはり3位タイの富山第一銀行。不良債権比率以外は全てトップ25に入っている。不良債権比率は99行中84位の2.81%。しかしこの数字をどう評価するかは難しく、またランキング数字の幅も大きく1位の長崎銀行が0.80%、最下位のスルガ銀行は12.63%と圧倒的だった。そういった意味では2.81%は深刻な数字ではないと見てよいのかもしれない。
富山第一銀行は上位に入った銘柄の中で時価総額も圧倒的に低くいかにも井村さんが好きそうな銘柄に映る。井村さん地銀株選定に絶対このランキング参考にしたでしょ!と思えるほど。時価総額的に近いのは4位の宮崎銀行だが地銀にとって稼ぐ力の基準の一つである自己資本比率がワースト25に入っているのはマイナス要素。井村信者の目から見てこのランキングを見る限りではやはり富山第一銀行が圧倒的に投資対象として魅力的であるという結論に達してしまう。
ワースト10位タイのランキング(下位9行)
ワーストランキングに入った銘柄の特徴としては低時価総額銘柄が多い。ワーストランキングに入っているからと言って買ってはいけないという訳ではなくむしろ伸びしろが大きい銘柄群であると捉えることもできる。ここからまだ市場が見出していないと思えるアルファを見いだせれば爆益確定なのだから。
まとめ
今回の井村地銀相場は三井松島の時とは違ってある特定の銘柄だけが評価されるのではなくセクター自体の底打ち感や政策転換への思惑によって地銀株が全体的に再評価されていくという相場になると思える。銀行は過当競争であり海運株と同じく差別化し辛い領域も広い。もちろん銘柄選定は超重要だと思うがある特定の地銀銘柄だけが群を抜いて株価上昇していくといった相場にはならないと思う。
とはいえ地銀なら何でも買い!という思考で経営破綻リスクが高いような銘柄を掴んでしまったら爆損になりかねない。
なので今回の地銀相場に乗っかるのであればあえて財務状況が悪く株価評価も低い穴場のような銘柄を狙うのではなく、既にある程度市場から評価されてアルファが少なそうだとしても安定重視で王道な地銀銘柄を買うのがリスクリワード的にコスパが良いのかも知れない。
今回のランキングはあくまで22年3月期末時点のものなので参考にしつつも現状はどうなっているかも調べて今後どう地銀に投資していくか考えていきたい。