エル川の株ブログ 爆益への意志

株式投資についての私的雑記です。主にアウトプットとしてのブログです。こんなんでも爆益を夢見ています。投資日記的にやっていますがコメントくれたらうれしいです。Twitter https://twitter.com/elflf16

地銀株セミナーまとめ(´・ェ・`)

水曜日開催の井村さんと村松さんによるセミナーが私にとってとても有益だったので自分の中に落とし込む意味でまとめておく。完全に理解できたわけではないが結論としては来年に向けて地銀株全般は買いだと思った。なるべく簡潔さを意識したが長くなってしまった。自分の解釈と理解が間違っている部分もあると思うのであしからず。

動画のアーカイブは残さないらしい。いつ消えるかわからないので見たい人はお早めに!

www.youtube.com

 

以下個人的なセミナー内容のまとめ

 

地銀株の現況

地方銀行株の株価は2013年の株価水準から横ばい
・今後株価評価に繋がるカタリストが到来する可能性があるのでそれらを検証していきたい
 

地銀のビジネス状況

・トータルすると過去と比べて利益は減っている
地方衰退のイメージとは裏腹に貸出金残高は増えている一方で貸出金の利回りは減っているためトータルすると利益は減っている。
・経費率が下がっている。
人員削減、拠点の統廃合、ATM撤去などの固定費削減など経費削減が進んでいる。店舗削減が顕著なのは主に第二地銀。利回りが減っている中で経費削減など自助努力は進み経営基盤が鍛えられている状況。
 
 

反転攻勢のカタリスト①マイナス金利の解除など金融政策の変更

・マイナス金利政策解除で株価上昇期待
上記の現況にある通り利回りが減っている中で経費削減など自助努力は進み経営基盤が鍛えられている状況下で仮にマイナス金利が解除されて利回り(利鞘)が戻ってきた場合、株価上昇に繋がる可能性が高いのではないか?
 
※そもそもマイナス金利政策とは?
金融機関が預けている当座預金に対して、一部にマイナス0.1%の金利を適用する政策。銀行が日銀に預けていたお金が市場に出回るように促す。
※日銀のYCC(イールドカーブコントロール)政策とは?
経済政策の一環として長期金利短期金利の誘導目標を操作すること。
短期金利は日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス金利を適用(マイナス金利政策)
長期金利は10年物国債金利が0%程度で推移するように長期国債の買い入れ
現状YCCは金利上昇抑制のため実行されているが元々は金利が低くなりすぎないため下支えが目的の政策だった。
 
・過去2006年にゼロ金利解除は起きている
TOPIXの銀行業指数は1992年を1000とした指数である。2003年にゼロ金利による銀行業の収益悪化で120まで下落。2006年にゼロ金利解除をきっかけに500を超える。ゼロ金利解除により貸出金利鞘が改善するという期待感だけで銀行の株価は上がったという事例がある(あくまで当時はそれだけのインパクトがあったという話)
 
・2006年当時と今の状況の違い。
2006年当時はマネタリーベース(日本銀行が世の中に直接的に供給するお金)が100兆円であったのに対して今は600兆円超え。現在行われているFRBのバランスシート縮小の議論と同じく利上げをしたとしても世の中に出ているお金自体が多いので2006年当時ほどのインパクトにはならない。現状の金余り状態がマイナス金利の解除だけで即解消されるわけではないすぐに銀行の利鞘が改善されるわけではない。
 
・今後マイナス金利の解除は実行可能なのか?
日銀の当座預金490兆円のうちマイナス金利部分は20兆円程度。この点で日本の経済にほとんど影響していないと言えるので実行可能であると言える。
一方で実行不可能という論調もある。現在日銀は発行残高の約半分を占める約520兆円の国債を買い入れている。金利を上げる=国債価格を下げるということなので金利を上げると日銀保有国債の価格が下がって実質的に債務超過陥って益々円安が加速し(ハイパーインフレ財政破綻を招くので利上げは実行できないという論調である。
それに対する反論が日銀が持っている国債は満期保有時価評価されるものではないので会計上は債務超過には陥ることはないというもの。FRBは急速な利上げ政策(国債価格が下がる)を実行しているため既に実質的に債務超過。来年には600億から1000億ドルの実質的な債務超過となると言われているがあくまで実質的というのがポイントで会計上は債務超過という扱いにはならない。実質的に債務超過なのにも拘らず現状はドル高なので日本も利上げをして問題ないのでは?
(この議論に関して私個人が理解しきれていない部分が多く専門家の間でも議論は平行線なのであくまでマイナス金利の解除は実行可能である可能性があるという結論に留めておきたい)
 

反転攻勢のカタリスト②総資金利鞘の底打ちとP/Lの改善

・経費率削減効果が見られ2021年度に総資金利鞘は底打ち状態
 
・超長期日本国債(20年債、30年債)は上昇基調
10年債を0.2%で借りて30年債を1.4%で貸せばその分利鞘が取れて銀行にとって有利な状況(昔の銀行の1つのビジネスモデル)。そもそも当座預金が溢れている状況なので10年債で資金調達する必要がないので銀行の収益改善にとってプラス。
ただし銀行は規制業務なので取れる金利のリスク量が自己資本比率の一定の範囲内等の規制があるため取れるリスクは限定的である。(国債など有価証券の運用に関して)
ただし取れるリスクが限定的であるとしても超長期債の上昇は銀行収益にとってプラスであるといえる
 
・日銀が利上げをすると市中金利も上がるのか?
日銀が利上げをしたからと言って同じ幅で市中金利が上がる訳ではない。TIBOR(東京の銀行間取引金利)がどう反応するかとうい話。2006年のゼロ金利解除でもTIBORは1%を超えなかった。銀行は過当競争であり固定金利もあるので収益は国の政策に遅行する。

 

※TIBORは東京の銀行間取引金利 貸し出しの基準となる金利
TIBORを参照して金融機関は融資す。TIBORが下がると金融機関の資金利益が減ってP/Lに悪影響。
 

反転攻勢のカタリスト③自発的あるいは外圧による資金効率の改善

・アクティビストの動き
シルチェスターの株主提案は否決され一部撤退傾向。村上ファンド系は上記の滋賀、山梨中央からは既に撤退(最新の四半期報告書で確認、株探でも確認できるが少し反映送れる)
※アクティビストとは
株主としての権利を積極的に行使して、企業に影響力を及ぼそうとする投資家。モノ言う株主とも表現される。
・業績連動型還元採用倍増
投資家に目線を合わせる変化が起きている。東証再編に伴うプライム基準維持などを目的とした流通時価総額向上対策などがきっかけ。投資家目線の銀行が増える一方で変化の見られない銀行もある。現状まだ変化の見られない銀行は今後投資家目線に変化する可能性があるそこに伸びしろがあるかもしれない(井村目線)
 
地銀株のリスク
・ドルの短期調達コストが急騰し米債の運用が逆鞘状態
現状米債は長期債よりも短期債の方が利回りが高いので地銀の米債運用は逆鞘(キャシュフローがマイナス)の状態になっている。ただし米国で来年以降利上げが止まって利下げに転じれば将来的には逆鞘が解消されていく。政策保有の株式などでの含み益を利用し益出しと外債損出を相殺を実行している銀行が多い。
・「その他」の投資先がブラックボックス
四半期報告書の有価証券の評価損益の状況の項目には
株式
債権
その他
があり米国債は「その他」に含まれる(債権の項目は日本の国債、地方債)
ほとんどの地銀はこの「その他」の内訳が不明伊予銀行など極一部の地銀は決算説明資料で公表している)。この「その他」に含まれる資金が海外の投資信託プライベートエクイティなどリスクの高い投資先に資金が向かっている可能性もある。
 

今後注目される地銀のホールディングス化

本体をホールディングス化し銀行を子会社の1つとしてぶら下げ、他の事業会社(コンサル、リース事業など)をぶら下げることでバンキング以外の収益を取り込むホールディングス化。トップ地銀レベルでこういった動きがようやく出てきた。銀行業以外の利益=役務の利益を参照する。例えば10年ほど前から台頭してきたM&A仲介事業は今考えると地銀にとって得意領域となり得る大きなビジネスチャンスだった。今後ホールディングス化して取り組むべき領域の1つかも知れない(井村目線)
 
 
 

以下個人的な感想

元々井村さんは去年から地銀が安いと言っていたが今回のセミナーでその真意が少しわかった気がした。銀行株全般特に地銀株は元々バリュエーション的にも低水準で来年の日銀総裁交代で金利政策転換となり得る思惑もありリスクを賭けるに値するタイミングに思える。ただしデフレマインドが根付いた国民が延々と金融緩和が続いているこの状況下でそもそも利上げを受け入れるか等の議論もある。
今後地銀株に投資するとして個人的な銘柄選定としてはやはりアルファが一番大きそうなまだ変化していないけど今後投資家目線に変化していく地銀を狙いたいところ。ただしそれを見極めるのは至難の業なのでセミナーで名前が出た既に投資家目線に変化している「いよぎん」や「北國FH」や「しずおかFG」などが無難な所か?ホールディングス化している地銀にも注目したい。