投資家は現場の声をよく求めている。投資対象企業のオープンワーク等の転職サイトの口コミを参照したりするのはファンダメンタルズ投資の一環として当然のように行っている人も多い。今回は私が知っている業界として中古車オークションと中古車輸出株について書いてみた。あまり興味ある人はいないかもしれないが利用者目線のイメージとして参考になればと思う。ユーザーから見たイメージ先行で書いたので銘柄分析にはなっていない。業界に身を置いている、現場を知っているからこその先入観で買えないって結構株あるあるだと思う。
さらっと書くつもりだったが書いているうちに説明が長くわかりにくくなっててしまった気がする。
中古車オークション関連株
4732USS
中古車オークション銘柄といえば4732USSである。日本最大の業者間の中古車オークション会場運営グループ。オークションの出品台数規模はUSSグループ>その他全国全てのオークション会場を合わせた数といったイメージでそのシェアは圧倒的。USSなどのオークション会場は中古車業者として会員資格を得なければ参加ができない業者間取引の世界である。USSは利益率の高さを見ればわかるが、その圧倒的な規模を生かした優位性のある企業といえる。しかし株式市場ではすでに十分評価されており個人的にはあまり投資妙味を感じない。永久保有株や10年以上といった時間軸で長期投資するのはアリかもしれないが。
5589オートサーバー
USS等のオークション会場の会員資格条件は様々あり色々とハードルがとても高い。そこで最近上場した5589オートサーバーはUSS等のオークション会場の会員になれない(取引量が少なく会費を払うメリットがない等)個人や小規模業者を対象にUSSを含め全国ほぼ全ての会場のオークション参加代行サービスを主に提供している。
3964オークネット
他にも同じようなカテゴリに3964オークネットがあるがオークネットはUSSとは接点がなくオークネットを介してUSSのオークションには参加できない。しかしオークネットはUSSグループ以外のオークション会場と深く繋がっている。オークネットはオークション代行サービスというよりオークション会場の会員資格提供サービスと言った方が良い。顧客に対してUSSを除く全国ほぼ全てのオークション会場(トヨタ系列のTAAなどがある)の準会員としての会員資格を提供する。落札代行ではなくオークション会場の会員資格を顧客に提供するので各オークション会場(USSを除く)との連携、繋がりが強い。そのためオートサーバーなどの落札代行よりも顧客が契約するハードルは高い。USSは直接オークションの運営をしているがオークネットはUSSと違ってオークション会場自体の運営はほとんどしていないので利益率は低い傾向にある。中にはオークネットが直接運営するオークション会場もあるが極小規模である。
まとめると
4732USS
オークションの会場運営、オークション市場シェア40.8%
5589オートサーバー
オークションの参加代行(USSを含むほぼ全国すべての会場)を提供
3964オークネット
オークション会場の会員資格(準会員)を提供(USSを除く)
といった感じだと思う。
オークション利用者から見た印象
ある程度取引台数があるオークション利用ユーザー(中古車売買業者)はUSSやその他TAACAAなど規模が大きいオークション会場とは正会員として直接契約、取引台数が少なく会費を支払って正会員になる必要のような小規模なオークション会場はオークネット契約(準会員)でカバーするといった体制で日々の中古車オークションに参加していると思う。基本的にオートサーバーの利用者は小規模業者に限られると思う。取引台数の多い業者は直接オークション会場の会員になった方がコストが断然安上がりなのでオートサーバーなどの代行業者は利用しない。今後もし個人の副業など小規模業者が増えればオートサーバーの取引量も増えるだろうが中古車業での副業は大変そうなのであまり増えていくイメージは沸かない。オークション代行会社も結構ある気がするので個人的なイメージではオートサーバーにはあまり魅力を感じない。オークネットはオートサーバーと比べれば中古車オークションの市場規模が拡大していくにつれて成長性はあるかも知れないがUSSの力がとにかく強大なイメージ。
中古車輸出関連株
9268オプティマスグループ
中古車輸出と言えば主にニュージーランド向けに中古車輸出及び輸出検査機関を運営している9268オプティマスグループである。2021年の半ば頃コロナからの復活したニュージーランド向けの中古車が破竹の勢いだったのを業界の中から身をもって感じていた。(最近のオーストラリア事業については中古車メインではないと思うのでよくわからない)
21年の半ば頃から上がっていたが個人的にニュージーランドは中古車の規制にやたら厳しいイメージもあったので手が出せず。例えばESC装備の義務は2年毎に対象車種が厳しくなっていき2020年以降は全ての車種が対象となっている。過去この規制強化が進むタイミングで輸出台数が若干落ちたりしたのではないかと思う。
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-001225.html
中古車の輸出規制や関税は当然国によってバラバラだし国の規制が突然コロコロ変わったりする。今日まで好調だったのに規制強化で突然来月から輸出NGになるような国もあった。そのため中古車輸出業者は数十カ国に営業網を張り巡らせて常にマーケットの変化を見続けなければならない。輸出検査機関を運営しているのはかなり強いが一方でニュージーランド一国に大きく依存するビジネスモデルは結構危ういのでは?という先入観もあり投資対象としては敬遠してしまっていた。結局去年から見ても更に爆上げしているのだけど・・・。
少しマニアックな話だがニュージーランドは2021年にトヨタのITS Connectというオプションを搭載している車両は輸出NGという規制を開始しそれに少し頭を悩ませている輸出業者もいる。
http://www.inspections.jp/download/ATJ_Announcement-NZTA_ITS_Connect_System.pdf
現在ニュージーランドに輸出している人気車両はアクアとプリウスが圧倒的ツートップだが2016年以降のモデルであるZVW50型のプリウスにこのITS Connectがオプション装備されている場合がある。このITS Connectを装備しているかは車体番号で判別できないので直接現車を確認する必要がある。今までの私の体感だと10~15台に1台くらい?がITS Connectを装備している。装備している車両の方が圧倒的に少ないが装備していたらニュージーランドに輸出できない。親切な出品者だとたまにオークションの車両の情報を記載する出品票に「ITS Connect装備あり」と記載してくれているが基本的には書いていない。そして毎日何十台何百台というオーダーがある業者は落札前に一台一台全ての車両を確認するのはほぼ不可能である。もしオークションで落札して引取り後にITS Connect装備車両でニュージーランドに輸出できない!となった場合は手間と費用と時間をかけてディーラーに撤去してもらうか運がなかったと今度は出品者として再出品に流すしかない。多分ほとんどの業者は再出品を選んでいるのではないかと思う。現在プリウスの中古車はITS Connect装備のない旧型のZVW30型の方がまだ主流だがこれから徐々にZVW50型が増えていくにつれて中古車輸出業者達の頭を更に悩ませていくのかもしれない・・・。
現在の評価損益状況
今週ニュースきっかけ?に造船爆上げ。嬉しいけども上がる度にあの時手放さなければ今頃・・・という事ばかりに囚われてしまう。愚かでズルくてぬるくてダサい。