エル川の株ブログ 爆益への意志

株式投資についての私的雑記です。主にアウトプットとしてのブログです。こんなんでも爆益を夢見ています。投資日記的にやっていますがコメントくれたらうれしいです。Twitter https://twitter.com/elflf16

「還元強化期待」に主眼を置いた銘柄分析(´・ェ・`)

新NISA開始に伴い今の日本株市場の1つのトレンドとしてPBRの改善や配当方針などの還元強化期待が人気テーマとなりつつある。自分の監視にも最近そのテーマに当てはまるような銘柄があったので「還元強化期待」に主眼を置いた分析をしてみた。割安性、成長性、懸念点、株価の下値ライン、株主構成、還元強化の思惑という6つの角度でざっくり見てみた。
銘柄は建築クレーンメーカーである6390加藤製作所。
 

割安性

・現在の時価総額約150億に対して2023年3月末時点で利益剰余金307億(自己資本456億)と低PBRでキャッシュが潤沢。PERも低いが特別利益が乗っている。

成長性

・2020年3月期~2022年3月期まで3期連続の赤字を経て2023年3月期スタートの中期経営計画の方針として主に事業の効率化を進めており収益は改善傾向。2023年3月期は黒字転換。
中期経営計画(2022-2024)の策定に関するお知らせ
直近の決算説明資料
 
・先日12月8日にインド進出を視野にインド事業準備室を新設することを発表。業績影響はかなり先の未来だが長期的な成長性期待という視点で見れば一つの担保となりえるかもしれない。
組織の新設および人事異動に関するお知らせ
 
・今期の業績進捗は2Q経過時点で営業利益進捗66.7%、経常利益進捗178%(想定越えの円安が寄与?)と進捗は堅調に映る。今期に関してはもしこのまま無事に着地するのであれば上方修正は濃厚か?

懸念点

・かつて売上利益を大きく計上していた中国でまだ赤字が続き慢性化している。中国では不動産不況など景気減速+地場のメーカーに押されている?
 
・中国以外の地域ではおおむね回復傾向も今期の業績上振れは円安による恩恵も大きいか?今期の為替想定は1 米ドル= 130 円。マーケットはこれから円高に向かうという共通認識が広まっており円安恩恵銘柄は敬遠されていく可能性がある。
 
・世界的な建機需要は長期的には堅調推移が予想される。しかし同業他社の6395タダノのバリュエーション差を見るとそもそもの競争力自体が低いor落ちている可能性?3期連続赤字の後、前期2023年3月期に黒字転換したが今後安定性があるとはまだ言えない。
 

株価の下値ライン

プライム市場における上場維持基準が一つの目安になり得ると考えている。プライム維持基準である流通株式時価総額100億円は現時点の株価だと1083円。会社としてもプライム維持は達成したいと考えていると思う。また8月、11月決算でも増配発表や自社株買いの期待はあったが据え置きが続き現在の株価水準は5月以降レンジ推移であまり変わっていない。
上場維持基準の適合に向けた計画に基づく進捗状況について

 

株主構成

恥ずかしながら私は今まで投資をしてきて株主構成についてはあまり考えず重視していなかった。
最近身をもって痛感しつつあるが企業が株主目線での経営方針やIRを強化するか?という視点において株主構成は最も重要な要素の1つである思う。特に万年バリューと呼ばれる会社はよく見ると創業者一族などで過半数を占めていたりして株価に全く興味がなさそうと思われる会社が多い傾向に思える。そういった企業は企業の存続>>>株価といった感じで何よりも企業の存続のみにフォーカスして行動原理とする傾向があるから?
加藤製作所は大半を占有している株主は不在で創業者一族で囲っているような感じでもないので他の万年バリュー株と比べてぱっと見で良さそうに映る。
2023年9月末時点の株主構成

還元強化への思惑

今年6月に出したコーポレート・ガバナンス報告書にて「資本コスト」という文言が初めて追加されていた。現在の中期経営計画(23年3月期から2025年3月期)には還元政策などについて具体的な数字による文言はないので見直し発表が期待される。来年の本決算での中計見直し発表が期待できるが、やはり現在の中計が終わる再来年に発表するのが本命か?

コーポレート・ガバナンス報告書
 
また、決算説明資料や説明動画でも今期配当40円から更なる還元を検討と言及しているので今期の増配や自社株買いなどは十分あり得る。では来期以降はどうか?あまり当てにならないが最新の四季報オンライン予想だと来期25年3月期の予想EPS102.2円に対して予想配当40~45円。業績ベースの配当性向で見れば約40%と割と高く映る。しかしキャッシュがかなり潤沢であり仮に配当40円として現在の自己資本ベース(DOE)で見れば23年3月期末の自己資本45,689百万円に対して1株40円の推定配当総額468百万円はDOE約1%と低い水準に思える。実際にはDOE採用は現実的ではないが今現在の株主還元強化余地は大いに残されているのではと思う。ただその一方で現在の中期経営計画で財務体質の改善として自己資本比率目標50%以上(今現在約49%を掲げているので自己資本比率下落を伴う大幅還元はあまり期待できなさそうにも思える。
 
 
以上。今年7月にフィスコがレポートを出しているのでここまで見てくれて興味がある人はそちらも参照。
 

まとめ

実は先日の講演会で某井村さんが「今後の資本コストの算出方針などについてコーポレート・ガバナンス報告書にだけ記載し始めたような会社がちらほらある」的な事を仰っていたので今週自分の監視銘柄を調べ直していたら加藤製作所がまさにそれっぽかったのでネタにしてみた。
色々書いてみたが還元強化とは株価の上昇というよりは株価水準の切り上げであるように思える。還元強化という視点で売買益を狙うには上昇期待というよりも会社の提示した還元強化方針が投資家目線で全くの期待外れだったというよくある肩すかしを喰らう場合に備えて上昇を狙うというより期待されていないと思える株価ラインを意識する方が特に重要なのではないか?その意味で加藤製作所は会社側ができれば維持したいであろうプライム維持基準というわかりやすい指標となり得る数字があるのである程度安心感はあるのかも知れないと思った。
結局の所真なる爆益確定銘柄を捉えるには隠された成長継続性を見抜かなければならない。真なる爆益を掴むためには割安性、成長性、継続性以外にもあらゆる視点を培っていく必要があると思う。しかし「還元強化期待」という視点はあくまで付随テーマの1つとして捉えておいた方が私にとっては良いのかもしれないと思った。見落としも多々あると思うのでまだまだ修行が足りない。
 
 
 

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