エル川の株ブログ 爆益への意志

株式投資についての私的雑記です。主にアウトプットとしてのブログです。こんなんでも爆益を夢見ています。投資日記的にやっていますがコメントくれたらうれしいです。Twitter https://twitter.com/elflf16

時代は計装屋?(´・ェ・`)

時代は計装屋?

今年の初めあたりから半導体工場やデータセンター、医療関連施設など工場設備の「国内回帰」の流れをきっかけに大型工事が活発化し空調設備などを手掛けるサブコンの株価が急騰しているのは株式市場でも話題であるが、その中でも今は計装工事という領域が特に忙しいという情報を目にした。

詳細は以下の動画を参照。めちゃくちゃわかりやすい。

www.youtube.com

計装工事とは一言でいえば制御装置やセンサー等の計装設備といわれる設備の工事である。

上記の動画によると計装工事の見積りはブラックボックス化しているということで近年急騰し続けている建築工事価格上昇の恩恵を実は特に受けているのではないか?と思った。下のグラフは人件費高、資機材高、輸送コスト高など様々な影響を受けていると思うが。

https://www.nikken.co.jp/ja/expertise/costmanagement_2024-07.html

日建設計標準建築費指数 NSBPI: 日建設計が独自に算出している建設物価の値動きを示す指数。標準賃貸オフィスを数量モデルとして、 独自調査により把握した実勢価格を随時反映させた工事価格を算出し指数化したもの。 第1四半期は1~3月、第2四半期は4~6月、第3四半期は7~9月、第4四半期は10~12月を示す。

 

という事でサブコン関連といわれる会社の中でも「計装工事」に着目し計装工事をメインで手掛けている上場企業3社を比較してみる。少し長くなってしまったので目次をつけてみた。

株価指標比較

9960東テク

PER PBR 利回り 信用倍率
13.5 1.87 2.97 4.91
時価総額 1,033億円

空調機器・関連機器専門商社で首位。設計・施工・保守。工事部門を拡大。

1723日本電技

PER PBR 利回り 信用倍率
10.2 1.28 3.20 176
時価総額 451億円

ビル空調計装大手。大型建物向けに設計・施工・管理。製造ライン制御なども。

1736オーテック

PER PBR 利回り 信用倍率
8.8 0.91 3.79
時価総額 196億円

空調自動制御設備の工事・メンテなどが主力。管工機材商品などの販売も。

 

3社ともビル空調自動制御設備機器の大手である6845アズビルの特約店である。

空調計装の市場規模は1,600億円以上と言われ、その 6 ~ 7 割程度をアズビルとアズビル特約店が占めている。空調計装は、事実上、アズビル製の機器が業界スタンダードとなっている。

フィスコによる日本電技レポートより

https://web.fisco.jp/platform/report/0172300/6680070020240621004

3社ともアズビルの特約店という事もあり市場規模的にこの3社が業界全体の計装工事領域を占める割合は大きいのではないかと推測している。

アズビル特約店と思われるリスト

https://www.azbil.com/jp/product/building/system/salesnet.html

全117件中

東テク18件

日本電技24件

オーテック18件

となっており店舗数で見れば3社で約半分を占める(60/117)。その他はアズビルの子会社や非上場企業と思われる。地域別に見るとどの地域に強いかなども見えてくるのかも知れない。例えば半導体関連で話題の九州エリアには日本電技とオーテックがない。中国エリアは日本電技がほぼ固めている。東テクは全体的に分布しているなど。

 

 

事業セグメント構成比較

9960東テク

会社としては3社の中で一番規模が大きい。商品販売が売り上げの半分以上を占めているが、工事事業のみの売上高も568億と3社の中で一番大きい。利益率は工事事業の方が高め。

決算説明資料では計装事業、エネルギー事業、関係会社事業という区分での分け方もされているがここでは工事施工=工事事業として扱っておく。

 

1723日本電技

3社の中で唯一、商品販売はほとんどしておらず工事に特化しているのが特徴。アズビル特約店舗も一番多いので「計装工事」だけの領域で見れば一番大きいのかもしれない。詳細はフィスコによる日本電技のレポートが詳しい。

 

1736オーテック

3社の中では一番規模が小さい。環境システムセグメントが工事事業で管工機材セグメントは機器販売。売上比率は工事事業が若干高い。空調関連だけでなく管工機材(配管資材、継手、バルブ、鋼管、衛生陶器、住設機器の販売)も手掛けているのが特徴。

 

業績推移及び受注状況比較

 

9960東テク

売上利益の推移は長期で右肩上がり。順調に規模を拡大してきており10年前の株価水準と比べると既に10バガーを達成している。機器販売を含めて業界大手のスケールメリットを生かした拡大を成功し続けている印象を受ける。

足元の受注推移

最新の決算説明資料より

https://ssl4.eir-parts.net/doc/9960/ir_material_for_fiscal_ym1/161686/00.pdf

受注残高は昨年から高水準を維持。「供給面を勘案した戦略的な受注獲得」とは将来のメンテナンス収益も考慮した好採算案件を選別受注していると解釈できると思う。供給面の限界(=主に人材不足?)という課題はあるが良好な事業環境にある事が窺える。

 

1723日本電技

東テク同様こちらも長期では堅調に売上利益を伸ばしているが東テクに比べると従業員数の推移なども含めて若干見劣りする印象。

足元の受注推移

最新の決算説明資料より

https://ssl4.eir-parts.net/doc/1723/ir_material_for_fiscal_ym/157128/00.pdf

東テク同様こちらも過去最高圏で推移。また「施工余力と採算性を勘案した選別受注により受注高は減少予想。」とありやはり事業環境も東テクと同じような状況にあると言える。

ただ、25年3月期は前年比で受注高減少を見込んでいるにも関わらず最新の1Q決算(4-6月期)の受注高は過去最高の15,630(百万円)となっていた。例年1Qに受注高が多く計上される傾向にあるが選別受注かつ金額規模も過去最高だとすれば今期または来期の売上利益は期待できるのかもしれない。

日本電技四半期毎の受注高推移

1736オーテック

長期で見れば右肩上がりといえば右肩上がりだが長期期間で10%以上成長している他2社と比較すると見劣りする。

足元の24年3月期では管工機材事業にて取引先破綻による貸倒引当金繰入をしている。管工機材事業は赤字決算が多くそれが他2社と比べて株価評価水準が低い理由の一つなのかもしれない。

足元の受注推移

最新の決算説明資料より

https://ssl4.eir-parts.net/doc/1736/ir_material_for_fiscal_ym1/157281/00.pdf

こちらも事業環境的には他2社と変わらない状況にある。受注高の見通しも前年比で微減の見通し。日本電技は既設工事の受注比率が高かったがオーテックは足元で新設工事の受注比率が増えている。(東テクは新設工事と既設工事の比率は開示が見当たらず不明)ここら辺の違いなどを深堀りすると見えてくるものが何かあるかもしれない。

最新の決算短信によると足元1Qの受注工事高は66億70百万円(前年比4.3%増)で新設工事が21億25百万円(同26.8%減)、既設工事が28億5百万円(同52.2%増)、保守工事が17億39百万円(同5.6%増)とのこと。こちらも通期では前年比で受注高減少を見込んでいるが1Q時点では好調推移か?

 

 

配当還元方針比較

 

9960東テク

連結配当性向40%を目安におき、業績に応じた継続的かつ安定的な配当を実施

1723日本電技

DOE(連結株主資本配当率)4%を基準に累進的な配当方針を継続

1736オーテック

DOE(株主資本配当率)3.2%以上の配当を目指す

 

 

東テクは配当性向40%目安としつつも長期間で増配を継続中、日本電技は22年11月、オーテックは23年9月に配当方針をDOE採用に変更。3社とも配当方針は強めといえるが日本電技のDOE4%かつ累進配当方針に注目したい。

日本電技は累進配当方針にも関わらず25年3月期は減配予想となっている。が、これは会社的に記念配当は別腹で累進配当は継続中とのこと。この「記念配当は別腹」は投資家目線ではパッと見で減配に映る。実際私もちゃんと調べるまで過去の配当推移的に累進配当ではなく減配もする会社という認識だった。累進配当方針という部分は案外見落とされているかもしれない。

 

 

 

計装工事受注高統計

最後に、設備工事業に係る受注高調査結果という国土交通省による統計もあったので軽く参照してみた。計装工事受注高、管工事受注高、電気工事受注高と別れていてどの工事受注高も近年上昇傾向にあった。電気工事としてカウントされている計装工事もあるようなので各社の受注高とあまり相関性はないかもしれない。もっと詳細に見ていけば何かを見出せるのかもしれない。

設備工事業に係る受注高調査結果(各工事主要20社)

https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/jouhouka/sosei_jouhouka_tk4_000010.html

 

まとめ

サブコンといわれる業界の中でも定義が曖昧な部分もあるが計装工事という領域は特に寡占傾向が強く事業環境が良好である影響を特に受けやすいのではないかと思った。3社とも共通する大きな懸念点はやはり「人材不足」でありこれは当然建築業界全体に言える。7088フォーラムエンジニアリングなど電気系エンジニア派遣の需要が強い背景とも繋がりがあるのかもしれない。

また、冒頭のみっくさんの動画で言及している建物よりも空調やロボットなど設備の重要性がより増してきているという話はなるほどと思った。こういった事業者目線で解説してくれるチャンネルは個人投資家にとって大変貴重であると思うので日々探していきたい。

サブコン関連は年初から既に株価が上がりまくっているが事業環境はやはり好調維持という印象。今後の決算動向など注目していきたい。

 

 

 

 

 

年間損益額と現在の評価損益状況

今週は取引なし。警戒されていたFOMCと日銀会合は無事?通過し目先はリスクオンモードか?次のイベントは来週27日の自民党総裁選。9月末の配当権利も意識される。次の決算シーズンに向けて全体相場が下がる要素はあまりなさそうに思えるが安直な買いはせず虎視眈々と狙っていきたい。